孤独女と王子様
「意識して使っているわけではないので、特には疲れませんよ」
『やっぱり跡取りは違いますね』

やっぱり、僕の振舞いって違和感あるのだろうか。
普通の家庭とは違うのかなぁ。

学生時代にもよく言われた。
だから言われ慣れている。

けど、今、改めて宇梶さんに言われて、ハっとした。
神戸さんは、僕のことをやっぱりそんな目で見ているのだろうか。

振舞いがお坊ちゃまって思っているのかな。

でも今更、どうしろって言われても、どうすることもできないけど。

『あ、私、次のアポの時間が迫っているので、サロンに行きますね』
「はい。頑張ってください」

僕は事務室を出て行く宇梶さんの背中を見ながら、頭では神戸さんのことが離れなかった。

ダメダメ。
これから幸せの絶頂を迎える新郎新婦をエスコートする立場なのだ。
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