孤独女と王子様

電車に乗ることには抵抗や戸惑いはないのかな…
そう言えば、日曜日に公園で話した帰りも一緒に電車に乗って帰った。

私の中のイメージでは、成瀬川家くらいの家柄なら、黒塗りの車で運転手がお出迎えするか、もしくは自分で高級外車でも運転して通勤してるか…

まぁ、とにかく貧乏人には想像がつかない世界。

『今日みたいな休日は、久しぶりです。楽しみ過ぎて、遠足の前の子供みたいになかなか昨夜は眠れませんでした』

穏やかに剛さんは話す。

「私も久しぶりですよ、１人じゃないハイキング」

久しぶりどころじゃない。
むしろ初めてだ。

そんなところで軽く嘘をつく意味が自分でも分からなかった。

そこは剛さんは突っ込んで来ないけどね。

『由依ちゃんは高校の時は何か部活動やっていたのかな？』
「はい。硬式テニス部でした」
『テニス部？意外ですね。僕もたしなむ程度ならやってましたよ』