孤独女と王子様
隣同士に座ると、横を向くと剛さんの顔が近すぎちゃうのでなかなか目を合わせられない。

『あ、そうだ。さっき言っていたバイトって、どこでやっていたんですか?』
「地元の、わかば堂書店の支店です」

私は高校生の頃、小遣い稼ぎのバイトをしていた。

地元の県立高校に通っていた私は、さすがに授業料は母に払ってもらっていたけど、小遣いは一切貰わず、洋服代もお昼ご飯代も自分のバイト代で賄っていた。

私は小さい頃から本が好き。

学校はバイトが禁止だったけれど、母子家庭だったうちの場合は届けを出して、許可を貰って働いていた。

学校から歩いて10分くらいのところにある"わかば堂書店"。

本が好きな人がお客さんとして多いだろうと思って興味を持って働かせてもらうことになったのは高校1年の夏。

「そこで今の本店の店長である児玉さんと出会って、その縁で東京に就職することになったんです」
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