孤独女と王子様
タクシーに乗る。

「どこへ行くんですか?」
『足の治療をしなくちゃ』

と、着いた先は接骨院。

『ここは、僕の実家の近くでね。小さいころからずっとお世話になっているところなんだ。由依ちゃん、このまま家に帰っていたら、テーピングを外して終了でしょ?だからせめてここでちゃんと治療してもらいたいと思ったから』

左足首の捻挫。
電気を当てられ、湿布を貰い、包帯を巻かれる。

『本当は毎日来てもらいたいんだけど、おうち、遠いでしょ?』
「はい」

ここは恐らく、わかば堂書店を中心に考えると、私のアパートからは逆方向だ。

先生がそう言うのはごもっともだけど、毎日通院するのは無理だ。

『だから、包帯の巻き方を教えてあげる』

そう言うと、先生は時間をかけて、私に包帯の巻き方を教えてくれた。
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