今宵も、月と踊る
「そうなのか?」
「そうなの」
価値観の違いを歳の差のせいにはしたくないが、俺達の間には確かに目に見えない壁がある。
……小夜は年上だということに引け目を感じている。
だから、俺は年下だとあしらわれるたびにやっきになって壁を壊そうとしてきた。
今のところは、五分五分の勝負だ。
小夜の態度には固さがとれてきて、徐々に素顔をさらけ出す機会は多くなってきたように思える。
(もう少しだ……)
早く、早く。ここまで堕ちてこい。俺が受け止めてやるから。ただし、堕ちたら最後。二度と離さないけれど。
「欲しい物はあるか?」
その場を仕切り直すようにコホンと咳払いをする。遅くなってしまったが誕生日を祝いたい。
「気を遣わなくていいよ?」
「気持ちの問題だ」
ここは男の甲斐性の見せどころだ。小夜が望むなら服でも、バッグでも、高価なジュエリーでも、何でも買うつもりだった。
ところが、小夜は困ったように口ごもってしまう。