今宵も、月と踊る
結局、俺の思うような都合の良い贈り物は見つからず、買い物に勝手に同行してきた正宗に冷やかされながら帰宅の途に就いた。
自室に荷物を置くと、渡り廊下を歩いて離れへ向かう。
夕暮れが終わると茜色に染まっていた空は、一転して深い夜闇に包まれる。冷たい秋風は遮るもののない渡り廊下にも容赦なく吹きすさんでいる。
寒さを蹴散らすように早足になって廊下を駆け抜けると、縁側に腰掛けて黄昏ている小夜を発見した。
いつものように声を掛けようとして、ふと気が付く。
雨戸にもたれかかってぼんやりと庭を眺めているその表情は、これまで見たことがないほどの憂いに満ちていたのだ。悩ましげに伏せられた視線は膝の上に置いた雑誌にひたすら注がれている。
「何を……読んでいるんだ?」
俺は小夜を暗鬱な気持ちにさせた雑誌のことが気になって仕方がなかった。
その正体を知りたくて声を掛けたのに、小夜は何事もなかったかのように傍らに置いてあった茶封筒の中にいそいそと雑誌を仕舞いだした。
「帰ってたんだ。気づかなくてごめんね」
……答えをはぐらかされたことで疑いが確信へと変わる。