もう一度君の笑顔を
友紀は、俺にマーケティング部の希望の条件を上げてくれと言った。


俺が部で適当に聞いた条件を伝えると、そこから彼女は営業の希望とマーケティングの希望を満たす店を3件ほどピックアップし、その中から2人で店を選んだ。


その手際の良さに驚いたが、その事を友紀に伝えると、



「職業柄、店には結構詳しいし、営業は飲み会好きだからね〜。

 慣れてるんだよ。」



そう言って笑う友紀を見ながら、自分はあまり役に立っていないとこに気付き、当日はもう少し幹事らしくしようと思った俺だった。





だが、当日になるとそうも行かなかった。



俺は、何人もの女子社員に絡まれ、適当にあしらっても次々とやってくる。


内心、うんざりしながらも友紀を見ると、彼女は幹事らしく空いたグラスを下げ、酒を補充し、注文をとって店員に伝えていた。


テキパキと動き回る彼女を目で追いながら、自分の置かれ居る状況にため息が出た。


巻こうとしても、酒が入って話が通じない奴らに囲まれて、結局動けなかった俺は、武井にメールを打った。


しばらくして、武井から『了解!』という返信がきた。



飲み会も終盤になり、二次会はどうしようかという話が始まったとき、武井が立ち上がって手を挙げた。


「二次会からの幹事は俺になりますので、二次会のご要望は俺に言って下さい!」



それを見て驚ている友紀に声をかけた。


「あいつ、体育会系で飲み会の幹事とか慣れてるから、任せとけば大丈夫だから。」


「え?でも・・・」


「高城さん、ほとんど飲んでないし、食べてないでしょ?

 後は、ゆっくりすればいいよ。」


俺がそう言うと、


「いいのかなぁ〜」


ちょっと困った様に笑う友紀に



「大丈夫。あいつはああいうのが好きだから、任せておけば。」


そう言うと。


「じゃあ、お願いしようかな。」


と笑った。


正直、幹事だし自分が仕切っても良かったんだが、それだとやっぱり友紀が気を使いそうだし、ここは武井に押し付けた俺だった。





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