もう一度君の笑顔を
「中野君は、行かないの?」



二次会へ行く集団からはずれていると、友紀に声をかけられた。



「どうしようかな。

 正直、ちょっと疲れた。」



そう言う俺に、友紀は笑いながら言った。



「あぁ、さっきみんなに絡まれてたもんね〜。」


「まだ、けっこう行くみたいだし、幹事でもなくなったし、もういいかな。

 高城さんは?行くの?」



「う〜ん、どうしようかなぁ・・・」


「じゃあ、俺と飲み直す?」


迷う友紀を見て、咄嗟に誘ってしまった。


「え?」


「いや、俺も飲み足りないけど、どうせ飲むならもう静かに飲みたいし。

 高城さん、さっき全然飲んでなかったし、どうせなら一緒にどうかなと思って。」




焦って言い訳がましく言うと、友紀は笑って。




「いいよ。行こう行こう!」


と言った。



武井に不参加のメールを送り、二人で飲みに行った。


友紀と二人での飲み会は盛りあがった。



友紀は、さすが営業というだけあって、話すのも、話を聞くのも上手く、ノリも良かった。



すっかり意気投合した俺たちはそれをきっかけに飲みに行く様になった。




ある日、二人で飲んでいると、友紀の様子がおかしい。


明らかにいつもより飲んでいる量が少ないのだ。


「どうした?体調悪い?」


心配になって尋ねると、友紀は不思議そうな顔で聞き返して来た。


「何で?」


「いや、いつもより飲む量少ないから」


「あぁ、実はね。最近仕事が忙しかったからこれ以上飲むと酔う気がするんだよね〜」



「いいじゃん。ちょっとくらい酔ったって。」


「へ?」



「仕事大変だったんでしょ?明日休みだし、ちょっとくらい羽目はずしかって大丈夫だって。

 ちゃんと送るし、手出さないし。」


戯けて言うと、友紀はクスクスと笑いながら、


「お言葉に甘えようかな!」


そう言って笑った。
< 25 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop