もう一度君の笑顔を
俺が質問に答えられないでいると、林梨花はまたため息を付き、食事を再開した。


また沈黙が続く。


そして、今度も先に口を開いたのは林梨花の方だった。


「もう、面倒くさいから単刀直入に言うけど、今日、あなたを誘ったのは今社内で広まってる噂を止めてほしいからよ。」


「噂?」


「いやいや、知らない訳ないでしょ?

 友紀が別れたがってるあなたをストーカーしてるからあなたが疲れ果ててるとか、妊娠してるって嘘着いて、あなたに結婚をせまってるとか。」



「は?」


初耳だった。



俺の方が振ったみたいな噂が立っているのは知っていたが、それでは友紀が悪者みたいじゃないか・・・



「もしかして、知らなかったの??」



刺々しい口調の林梨花だが、俺はそんなこと気にする余裕は無かった。



「そこまで酷いのは・・・」


「始めは、あなたが友紀に愛想つかして振ったみたいな内容だったのよ。


 でも、辻褄が合わないじゃない。」



言っている意味が分からず、怪訝な顔をする俺に林梨花はまたため息をついた。



「振った方が傷心気味で仕事も手につかないなんて、辻褄が合わないじゃない。

 だから、振られた今でも友紀があなたを苦しめてるってことになって、友紀が完全な悪者扱いよ。」



初めて聞く話に動揺が隠せない。


そんな俺の様子に林梨花は苛立が隠せないようだった。


「あのね!その被害者面いい加減どうにかならないの??!!

 あんたの所為で友紀は傷付けられたのよ!友紀に振られたのだって自業自得でしょ?

 それに、あんたと別れても友紀が何にもないように仕事するのは、傷ついてなからじゃない!!あの子が隠すのが上手いだけ!!

 元カレなのにそんなこともわかんないの?!!」


その言葉に目が覚めた気がした。


友紀と別れてからの俺は自分のことで手一杯だった。


友紀の事を思っているつもりだったが、結局彼女があらぬ噂で傷ついているかもしれないと思いつつも放置したのだ。

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