恋宿~イケメン支配人に恋して~
「二日酔い、大丈夫ですか」
「……あぁ」
「そう……ですか」
あれ……なんか、いつもと雰囲気が違う?
気まずさはお互いあるし、ぎこちないのは分かるんだけど。でも、なんかおかしい。
目を合わせようともしない。いつもの千冬さんなら、気まずくても普通のフリをしてやり過ごすと思うんだけど。
「……あの、昨日のこと」
「そういえば、言い忘れてたけど」
「え?」
「お前、仕事29日まででいいから」
「え……?」
なにを、突然……?
どうして1日早まったのか、どうしていきなりその話題なのか、どちらも分からず首を傾げる。
「田中さんが30日から出られるそうでな。たかが1日だが早く帰れるほうがお前もいいだろ」
「でも、1ヶ月に+2日とか3日とか言ってたのに……」
「あんなの冗談に決まってるだろ。それに、田中さんが戻るなら別にお前はいらない」
『いらない』
その言葉に驚き言葉を失う私に、彼はこちらを向きしっかりと顔を見る。
「お前はただの田中さんの代わり。人手がないからと壊れた花瓶代のため。それだけで、別にお前個人を必要としてたわけじゃないから」
『お前個人を必要としてたわけじゃない』
そんな、突き放すような言い方。
「……聞いても、いいですか」
「何だ」
「……なんで昨日、キスしたんですか」
じゃあ、どうしてキスなんてしたの。
必要としてない人に、すぐにここを去るような人に、どうしてキスなんて。