恋宿~イケメン支配人に恋して~



「べつに今たまたまいないだけだし彼女なんてすぐ出来るし。それに大丈夫、キミだってすぐ千冬にフラれるから!」

「なっ!」

「俺には分かるね。無愛想でふてぶてしいし、絶対愛想尽かされて浮気されるタイプでしょ」

「ぐっ……」



ところが更に反撃をされ、言葉を詰まらせると隣では千冬さんが「ブフッ」と吹き出し笑う。



「ち、千冬さんまで!」

「いや、悪い……当たってるもんだから、つい」

「ほーら見ろ。俺くらいになると大体分かっちゃうんだよねー」



む、ムカつく……確かに当たっているから余計にムカつく。

悔しさに睨みつけながらコーヒーを飲めば、本当にミルク多めで余計ムカつく。



「千冬、夜食食うでしょ?そんな女子力低そうな彼女じゃまともな料理も出来ないだろうし、俺が作るよ」

「は!?料理くらい人並みに出来ますけど!」

「俺は人並み以上に出来るけどー?」

「っ〜……私だって出来ます!」



なにかにつけてバカにしてくる宗馬さんに、いつもなら流すことの多い私もさすがに反論せずにはいられない。

ギャーギャーと狭い台所に押し合いながら立つふたりを見て、千冬さんはもうなにも言わずにテレビを見た。



「ちょっと、邪魔です。そのでかい図体で台所立たないでください」

「そっちが邪魔。なに作ろうかなー、野菜チャーハンにスープでも作ろうかなー」

「じゃあ私オムライス作ります」

「ちょっと!ご飯ものにご飯ものでかぶせてこないでくれる!?」



小さな台所で騒ぎながら、押し合いながら、作った料理。

本当はあんまり料理なんて得意じゃないけど、彼女としてバカにされたままも気に入らない。



ていうか、どうしてこの人はこんなに私に絡んでくるの?そんなに千冬さんが好き?友達を取られた気がしてやきもちとか?

でも私だって、彼女なんだから。負けないんだから。



そんな意地で料理を作り、私が作ったオムライスと宗馬さんの作ったチャーハンを同じタイミングでテーブルに置いた。



「さぁ千冬!どっちが美味いか決めて!」

「どうぞ千冬さん!私のほうが絶対美味しいと思いますけど!」



……が。目の前の千冬さんは、ソファにもたれるようにして「すー」と眠っている。

寝て、る……。

家に帰ればやっぱり安心するのだろう。あれだけ騒いでいたのに眠ってしまうなんて。



< 243 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop