恋宿~イケメン支配人に恋して~
「べつに今たまたまいないだけだし彼女なんてすぐ出来るし。それに大丈夫、キミだってすぐ千冬にフラれるから!」
「なっ!」
「俺には分かるね。無愛想でふてぶてしいし、絶対愛想尽かされて浮気されるタイプでしょ」
「ぐっ……」
ところが更に反撃をされ、言葉を詰まらせると隣では千冬さんが「ブフッ」と吹き出し笑う。
「ち、千冬さんまで!」
「いや、悪い……当たってるもんだから、つい」
「ほーら見ろ。俺くらいになると大体分かっちゃうんだよねー」
む、ムカつく……確かに当たっているから余計にムカつく。
悔しさに睨みつけながらコーヒーを飲めば、本当にミルク多めで余計ムカつく。
「千冬、夜食食うでしょ?そんな女子力低そうな彼女じゃまともな料理も出来ないだろうし、俺が作るよ」
「は!?料理くらい人並みに出来ますけど!」
「俺は人並み以上に出来るけどー?」
「っ〜……私だって出来ます!」
なにかにつけてバカにしてくる宗馬さんに、いつもなら流すことの多い私もさすがに反論せずにはいられない。
ギャーギャーと狭い台所に押し合いながら立つふたりを見て、千冬さんはもうなにも言わずにテレビを見た。
「ちょっと、邪魔です。そのでかい図体で台所立たないでください」
「そっちが邪魔。なに作ろうかなー、野菜チャーハンにスープでも作ろうかなー」
「じゃあ私オムライス作ります」
「ちょっと!ご飯ものにご飯ものでかぶせてこないでくれる!?」
小さな台所で騒ぎながら、押し合いながら、作った料理。
本当はあんまり料理なんて得意じゃないけど、彼女としてバカにされたままも気に入らない。
ていうか、どうしてこの人はこんなに私に絡んでくるの?そんなに千冬さんが好き?友達を取られた気がしてやきもちとか?
でも私だって、彼女なんだから。負けないんだから。
そんな意地で料理を作り、私が作ったオムライスと宗馬さんの作ったチャーハンを同じタイミングでテーブルに置いた。
「さぁ千冬!どっちが美味いか決めて!」
「どうぞ千冬さん!私のほうが絶対美味しいと思いますけど!」
……が。目の前の千冬さんは、ソファにもたれるようにして「すー」と眠っている。
寝て、る……。
家に帰ればやっぱり安心するのだろう。あれだけ騒いでいたのに眠ってしまうなんて。