恋宿~イケメン支配人に恋して~
「なんだ、寝てるし……折角作ったのに」
そんな千冬さんに宗馬さんは不満そうに言いながらも起こすことはせず、奥の寝室であろう部屋から毛布を持ってきて千冬さんにかけた。
「作ったごはん、どうします?」
「ラップかけて置いとけば。千冬のことだから、朝起きたらちゃんと食ってくれるよ」
「……随分と千冬さんのこと知ってるんですね」
「そりゃあキミと違って付き合い長いからね」
またそういうカチンとくることを言う……!
千冬さんが寝ている手前大きな声を出すことも出来ず、ふんっと顔を背けるように台所に戻り手元のお皿にラップをかけた。
「でも見れば見るほど、キミは千冬のタイプとは真逆だよねぇ」
「へ?」
すると宗馬さんも私の隣に立ち、同じく自分の手元のお皿にラップをかける。
「千冬の好みはね、全体的にムッチリで巨乳の背が低いふわふわ系の女の子。細くて胸がなくて割と背があって無愛想なキミとは真逆」
「なっ!」
そうだったの!?
全てにおいて私と逆なその好みに、ちょっと衝撃的だ。
思えば私千冬さんの好みのタイプなんて聞いたことないや……ということは、それは本当なのかもしれない。
いや、でも……くそっ、反論出来ない!
「あ、でも一つ当てはまることがあるかな」
「え?なんですか?」
「顔が微妙」
「!!!」
一瞬喜んだのもつかの間、ニヤニヤと嫌味たっぷりに言われるその言葉に余計ムカつく。
「で?千冬と結婚するつもり?」
「へ?」
結婚、?
いきなり振られたその話題に、彼を見上げる。
千冬さんと同じくらいか、少し低いかくらいの身長の彼は、先程の垂れた目を笑わせることなく私を見た。
「……それは、まだ、そもそも付き合って一ヶ月くらいですし」
「でも仲居の仕事してるってことは、いつか女将になって千冬を支える。二人で旅館やっていくってことでしょ」
「……まぁ、その気ではあります」
「でもさ、俺にはキミに女将が務まるとは思えないんだけど」
え……?
ぼそ、と呟かれたその言葉に驚き、真意を問うようにその目を見た。けれど、見つめる瞳は冷たいまま。