ミントグリーン~糖度0の初恋~




「ん……。よしよし。
ここには兄貴たちと一緒に来ればいいから。

とりあえず今日は…自分の部屋に帰るんだよな?」


コクンと頷く私の頭をシンタくんはもう一度撫でてくれた。


「じゃあ、俺が駅まで送るから。

今たまってるオーダーだけ片付けてくるからそれまでそこに座って待ってて」


部屋の隅に置かれたソラマメ色のソファーを顎で示すシンタくんに、私は慌てて首を振る。


「いいよ、大丈夫。
駅まで遠くないんだし、1人で帰れるよ」



私の住む女性専用マンションは大学のそばで、川越から電車で40分くらいのところにある。
この店から川越駅までは徒歩5分くらい。


1人で来て、1人で帰る。


さすがにそれくらいのことは出来る。




だけど、シンタくんはきっぱりと首を振った。



「ダメ。ここは路地裏だから暗いし、またナンパでもされたらどうすんの?

千波、これからこっちで生活するんだからもう少し危機感持てよ?

とにかく、そこにおすわり」


「おすわり、って…。
犬じゃないんだからさ…」



文句をいいながらも、私はソファーに腰をおろした。





< 89 / 507 >

この作品をシェア

pagetop