モラトリアム
その日から事あるごとに、私の予定は完全無視で西園は私を呼び出すようになった。
今日だってその通り。私も行かなきゃいいのになぜか足が向いてしまう。
それは…居心地がいいから。
私はいつも男性の前では固くなって、可愛い自分を演じようと必死だった。
だけど西園の前では化粧が崩れていようが、酔っぱらってしまおうが気にならない。
理由は分からないが、自然なままでいられるのが楽なのだ。
「アンタね、私にだって予定ってもんがあるのよ」
「でも、こうやって来てますよね?」
それを言われると返す言葉がない。
「よっぽど俺の事が好きなんですね」
「…っ、違うわよっ!」
「ま、そういう事にしときましょ」
「…」