私の人生を決めてください
「ウーロン茶2つですね」

よく来る個室の多い居酒屋で、席についてまず飲み物を頼んだ。

未世ちゃんは仕事が長引いてまだ来ていない。

メニューを開いてどれがいいかと聖ちゃんが聞いてくる。

どの料理を見てもぶっちゃけ欲しいと思えない。

「わたしウーロン茶があればいいよ」

「えー、サラダは食べてよ?」

もともとダイエットのため食べることが少ないわたしのこの発言に聖ちゃんは少しでも食べるようにと軽いもの、カロリーの少ないものを勧めてくる。

せっかく来ているのだが、そのくらいは食べることがある種のノルマだと思った。

「二人の食べ残しでいいよ」

「わかった」

わかったといっても多分盛り分けてくれるんだろうな。この子は。


「花菜ちゃんちゃんと食べてる?寝てる?顔色悪いし、痩せてない?」

聖ちゃんが急に本題に、迫る。

「ほんと?痩せた?」

痩せたことは純粋に嬉しく、顔がほころぶ。

「いや、痩せたってよりか、やつれてるよ」

やつれてるか、しっかり化粧で隠してるつもりなんだけどな。

「チークも濃い目だし、ぱっと見わからないといえばわからないけど」

さすが鋭いな。

「実は、あいつと別れたんだ」

けろっと伝えると、聖ちゃんの目が止まった。

「別れたっていうか、距離おこうって言われてね?」

初めてこの事実を人に伝えた。伝えるだけで勝手に涙があふてくる。

「わたしが悪いんだ、わたしが勝手だからあいつ愛想つかしたんだよ」



言葉にしたらきつかった。

涙は勝手に頬を伝う。

何日たったって癒えはしない。

わたしの人生の半分は確かに大きかった。
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