カメラマンと山小屋はよく似合う
おじいちゃん子“だった”。

それはつまり、高東さんのおじい様はもう、亡くなられてしまったのだろう。彼の年齢では特別珍しいことでもないし、当然それは、私の年でも。

会うたびに細くなっていく体、曖昧になっていく記憶。おばあちゃんの変化を近くで見ているからこそ、その先に待っているものの恐怖を知る。

どんよりとした私の空気を感じ取ったのか、高東さんはすぐに話題を変えた。

「あんた、えーっと、つぐみだっけ? こっちで何やってんだ? 仕事は?」

「今はしてません。先月辞めました」

「……ふぅん」

「良い年してニートだなんて、みっともないと思ってるんでしょ?」

「いや? 俺も似たようなもんだしな」

「え?」

似たようなものって、どういう事?

「別に、もう働く気がないわけではないんだろ?」

「え、それはもちろん。実家に戻ったらちゃんと探すつもりです。貯金で生活出来るのはもって一ヶ月だし、こんな事で親に頼るなんてもう出来ないし」

「それなら良いんじゃねぇの。少なくともあんたのばあちゃんは、こんな形でもあんたに会えて嬉しいだろ」

その言葉に、『これから一ヶ月は毎日会いに来るね』とおばあちゃんに言った時の、とても嬉しそうな顔を思い出した。私が仕事を辞めて良かった事と言えば、確かにこの事くらいなもので。

この人の話し方はどこまでも投げやりでぶっきら棒。けれどよくよく聞いてみれば、その言葉は人間味に溢れていた。






何となく聞けずに終わった彼の事情を知るのは、まだずっと先のこと。

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