カメラマンと山小屋はよく似合う
頷きながら啜ったわかめスープは、私もよく飲むインスタント。見た目のオシャレさに気を取られていたけれど、考えてみれば自分でも作れるものばかりだ。

「お皿や盛り付け方を変えるだけで、こんなに可愛くなるんですね……」

目から鱗。ほう、と零れた息は感嘆の溜め息。ダイニングテーブルに並んだ朝食は、それほどオシャレだったのだ。

「見た目と言えば、今日は前と雰囲気違うんだな」

「え? あ、服ですか?」

一体何の事だときょとんとして、けれど彼の視線ですぐに理解した。泣きじゃくってぼろぼろだったメイクはお出かけ用にし直して、着てきたのは上が黒で下が薄いピンクのバイカラーワンピース。腰の切り替えの位置が高めで足が長く見えるから、私のお気に入りの服の一枚だった。生地も厚く、コートと黒タイツを合わせれば見た目よりも温かい。

「喪服、シワになっちゃってたので、後でクリーニングに持っていこうと思って」

「市内に行くのか?」

「はい」

そっちは流石に人も多いし、ラフ過ぎるのも気が引ける。別に前髪を上げた高東さんが、びっくりするほど男前だったからでは断じてない。……と、思うんだよね。たぶん。

「じゃあ俺も行くか」

「え、一緒に?」

「ま、ついでだしな、乗ってけば?」

「やったあ!」

「その代わり、皿洗いはあんたがやれよ」

「そ、それは最初からそうさせて頂くつもりでしたよ! 流石に!」

「どうだかな」

高東さんはくつくつと意地悪な笑みを浮かべて、二つ目のクロワッサンに噛り付いた。

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