カメラマンと山小屋はよく似合う
テレビ・ステレオコーナーを抜けて、ずらりと並ぶカメラの前。商品を見るために一時的に預けられたビニール袋は重すぎて、数秒でうんざりして床に置いた。
「カメラ、買うんですか?」
「あー、その予定はないんだけどな」
「これも職業柄ってやつ?」
「いや、これは趣味。仕事に必要なカメラは一通り持ってるし」
横から話しかける私には目もくれず、“最新”と書かれたカメラをいじる彼は、買うつもりもない洋服に手を伸ばしてしまった私と同じだろう。
「そういえば、最近はプロのカメラマンもデジタルを使う方が多いって何かで見ましたけど、高東さんはアナログですよね」
「撮るものにもよるけどな。人とか食い物の時はその場でチェックするからデジタルだし、俺はフィルムの方が好きだけど、確かに今は、アナログを使うやつの方が圧倒的に少ない」
「あれ? だけど、私を撮った時もアナログでしたよね?」
「……撮るものによるからな」
「……私、ちゃんと人間ですけど」
がやがやと騒がしい店内に落ちる、私たち二人だけの沈黙。何故か視線を泳がせた高東さんは、焦ったようにまた違うカメラを手に取った。
あ、この人何か隠してる。なんて思ったのは女の直感。けれど私は、元から彼の事をよく知ってはいないのだ。名前や年齢なんてものは親しくなくても分かる事だし、彼の家を知っているのも偶然で。そんな男の所に転がり込む私も私だけど、受け入れる高東さんも高東さんだ。
私は自分のことをもっと見持ちの堅い女だと思っていたけれど、初対面で彼の車に乗ってしまった事と言い、どうやら高東さん相手だとそれが発揮できないでいるらしい。
「カメラ、買うんですか?」
「あー、その予定はないんだけどな」
「これも職業柄ってやつ?」
「いや、これは趣味。仕事に必要なカメラは一通り持ってるし」
横から話しかける私には目もくれず、“最新”と書かれたカメラをいじる彼は、買うつもりもない洋服に手を伸ばしてしまった私と同じだろう。
「そういえば、最近はプロのカメラマンもデジタルを使う方が多いって何かで見ましたけど、高東さんはアナログですよね」
「撮るものにもよるけどな。人とか食い物の時はその場でチェックするからデジタルだし、俺はフィルムの方が好きだけど、確かに今は、アナログを使うやつの方が圧倒的に少ない」
「あれ? だけど、私を撮った時もアナログでしたよね?」
「……撮るものによるからな」
「……私、ちゃんと人間ですけど」
がやがやと騒がしい店内に落ちる、私たち二人だけの沈黙。何故か視線を泳がせた高東さんは、焦ったようにまた違うカメラを手に取った。
あ、この人何か隠してる。なんて思ったのは女の直感。けれど私は、元から彼の事をよく知ってはいないのだ。名前や年齢なんてものは親しくなくても分かる事だし、彼の家を知っているのも偶然で。そんな男の所に転がり込む私も私だけど、受け入れる高東さんも高東さんだ。
私は自分のことをもっと見持ちの堅い女だと思っていたけれど、初対面で彼の車に乗ってしまった事と言い、どうやら高東さん相手だとそれが発揮できないでいるらしい。