カメラマンと山小屋はよく似合う
「これいいな」

「何か他のと違うんですか?」

「んー……」

「高東さーん?」

「んー……」

「もう」

夢中になってカメラを弄くり回している高東さんには、私の声は届いていないようだった。

暇を持て余して見つめた先。今日の彼はVネックの黒セーターにジーンズ姿。その上に羽織ったロング丈のグレーのピーコート含め、人の買い物に横やりを入れるだけあってセンスが良い。シンプルだけどスタイルが良いからばっちり決まる。

けれど、女の子と出かけるというのに前髪もヒゲ面も相変わらず。確かにこれはこれで、アンニュイな雰囲気で悪くないといえば悪くはないのだけど。

「……勿体無いな」

「だよなぁ。頻繁に使える機能でもないのにこの値段はなあ」

いやいや、カメラの話じゃないんですってば。

ぷっくりと膨らました両頬を、高東さんが片手で掴んでぷしゅりと潰した。あらま、視界に映ってたのかと頬を染めて俯けば、

「あれっ? いつきさんじゃないですか!?」

「え?」

「げ、」

私が顔を上げたのとほぼ同時、スラリと細い腕を高東さんの腕に絡ませて、嬉しそうに擦り寄るすごくすごく綺麗な人。

「やっぱりいつきさんだ! どうしてこんな所にいるですか!?」

「楠木こそ、なんでいるんだ」

「わたし実家がこの辺りなんですよ! お正月に帰れなかったんで、昨日からやっと戻ってきてて」

流行りのベリーショートがめちゃくちゃ似合う小さい頭、男性顔負けの高身長。まるでモデルさんにみたいな、……っていうかこの人、本当にどこかで。
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