涙がこぼれる季節(とき)【完】
「とにかく、応援がいいんだよね~」


結衣は通常の吉崎を知らない。


したがってその想いに気づくこともなく、緊張極まっている吉崎に無邪気な笑顔を見せていた。


「あ、ほら、見て」


ちょうど画面いっぱいに応援席が映った。



100人以上の野球部員と、チアガール、ブラスバンドを中心に、かなりの人数のK高生たちが声援を送っていて。




一言で表現するなら、それは「一体感」。




スタンド、グランド、ベンチ――。


球場にいるすべてのK高生が、甲子園出場を信じている、様。




そして、9回裏。1-4。


3点リードされていたK高は、1アウトランナーなしの状況から、粘りに粘って、逆転勝利した。

< 16 / 200 >

この作品をシェア

pagetop