marine snow
「もっ、やだ……」
なんで?なんで、こんな……
苦しい…息苦しい………
息をするのが、辛いよ……
制服から私服に着替えて部屋を出る。
リビングの前の扉を通るとき、あの人たちの会話が聞こえてきた。
「どうしてお前はそうなんだ!!あいつの面倒ぐらい見ろ!!
母親だろう!!」
「うるさいわね!アンタの子でもあるでしょう!?
あの子の世話をアタシに押し付けて、偉そうなこと言わないでちょうだい!!」
「子供の世話は母親の責務だ!!父親の俺は毎日働いて金を稼いでいる!」
「それで仕事場の人と浮気?いいご身分ね!」
「お前だってしているだろう!!金を使うしか能がない女が!!」
いつも、こうだ……
こうやって相手の顔を見れば罵って。
小さいときから、あたしの家ではこれが当たり前だった。
「あぁっ、もう……あんな子がいなければアンタと別れられたのに!
あんな子、産むんじゃなかったわ!!」