裏道万屋の事情
『あたし…バカだから何をすれば良いかとか、全然分かんないです。――けど、嵐にはたくさん笑っていてほしいと思うんです。』



理由は分からない。
ただ、漠然とだけどそう思った。

嵐の笑顔はとても幸せそうで、その時だけは陰りなんて一切感じられなかったから―――。



『笑いは幸せの源だと、あたしは思うんです!!…けど、弘さん…。そのためにはあたしは何をすれば良いんですか…??』



あたしは俯いた。


分からないよ。

あたしは一体何をすれば良いの―――…??!!


何をしてあげられる―…??











「あははっ!!!!」



―――はっ????!!!!


慌てて顔を上げると笑顔の弘さんがいる。



いやいや何笑いよ??

あたしの言ったことが何かおかしかったと――??



弘さんに若干の不信感を持ち始めたその時、弘さんが笑顔のまま言った。



「―――うん。本当、笑うと何でか幸せな気分になれるね!!根拠なんかないのになぁー。」



え。実践してたんスか。



「何をすれば良いか、だったね。」

『あ………はい。』

「菜子ちゃんが嵐くんにしてあげられる事。それは、今まで通りの、今のままの菜子ちゃんで接する事、だよ。」

『今まで通りの、今のままの…あたし……。』



それって、今のまま居れば良いって事……??



「菜子ちゃんの前で本当に笑ったのなら、今のままの、ありのままの菜子ちゃんで居ればそれで良いと思うよ。」






『――はいっ!!!!』



そうだよね。
今の状況が一番だよね、きっと。



何気なく前方を見るとまたしても輝さんにロケット花火を向けている嵐。



最近思ったけど―――






嵐って隠れS………??!!












とりあえず、何も見なかった事にしとこう。
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