On Your Mark
「・・・まじかよ」


右耳の裏側にはペスチニア国民である証の刻印はされていない。



しかし、そんなことに僕は驚いているのではないのだ。



僕は慌てて他の二人がいる学校の跡地へと、持っていた懐中電灯でモールス信号を送った。


  S・O・S


救助が必要というわけではないが、他の二人がすぐさま駆けつけるには打って付けの信号だと思ったのだ。



思惑通り、二人は慣れない手付きで銃を持ちながら走ってきた。


「どうした、ツバサ」


「いや、実はSOSというほどでもないけど・・・」


「じゃあ、何なんだよ?」


「それでも、困ったことは確かなんだよな」


同じ第四防衛ラインに配備されたレイとイビルが顔を見合わせ、納得のいかないような表情をこちらに向けてきた。



こういうとき決まって前に出て聞きたがるのが、レイだ。

レイは口調が荒くなることが多く、興奮するとそれが顕著になってくる。



逆にイビルは誘導するかのようにこちらに説明をさせる。

レイとは正反対で、いつも冷静で口調もおっとりとしている。
< 4 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop