On Your Mark
「どういうことだよ」


「いや、そこに女の子が倒れているだろ」


「だから、なんだよ」


「レイ、落ち着いて。

もしかして、この子はユーシチール国の人間なのかい?」


「それだったら・・・まだ、良かったんだよ」


「早く言えよ」


「人じゃ・・・ないみたいなんだ」


僕は女の子の背中に手を伸ばしワンピースを少し下げると、白く大きな翼が僕たちの目の前に現れた。


「・・・なっ」


二人は言葉を失ってしまったようで、あのイビルですら呆然と立ち尽くして女の子を見つめているだけだった。

もっとも、この子を『女の子』と呼んでいいのかも、最早分からなくなってしまっているのだが。


「あっ・・・」


女の子の体が僅かながら動いて、僕は慌てて体を支えるように手を回した。

二人は僕の後ろに続き、女の子の顔を覗きこんだ。
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