心の裏側と素肌の境界線を越える為に
「教室に忘れものしてさ〜。あはは…」

愛想笑いをしながら、後ろ足で下がると、

「ごめん!」

そのまま…逃げるように、改札から離れた。


もう…片桐の顔は見れない。


情けない自分を悔やみながらも、俺は全力で走った。

ない忘れ物を、取りに帰る為に。


正門に着くと、中から自転車をこぐ美佳が出てくるところだった。

美佳は、俺に向かって舌をだした。


「?」

眉を寄せる俺の横を通りすぎると、駅とは反対側の方へ曲がっていった。


「な、何だよ…」




自転車置場についた俺は、自分の自転車のサドルに貼られた紙に気付いた。

その紙には、馬鹿と走り書きで書かれていた。
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