心の裏側と素肌の境界線を越える為に
貼り紙を外すと、くしゃくしゃに丸めて捨てた。

「ったく!」

毒づきながら、サドルに股がると、俺は自転車をこぎだした。



自分自身の情けなさを噛み締めながら、

一時間以上はかかる道程を走り出した。


「こんなときに、定期が切れているなんて」


駅と反対側にある国道にそって、帰らなければならない。

正門を出ると、制服の内ポケットに入っている携帯を取りだし、時間を確認した。

「こんな時間か…」

俺はため息をついた。

駅までの往復や美佳とのやり取りで、時間を使ってしまった。

いつも帰る時間より、二十分遅い。


自転車通学の時は、早く帰らなければならなかったのに…。
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