婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
結局、葛城は『天釜あげのおうどん』、私は『カルボナーラうどん』をそれぞれ注文した。

「葛城さん、貴方は何者」

運ばれてきたうどんをそろりと掬い、お上品にすすっている葛城に尋ねる。

「葛城商事って知ってる?」

「知ってるも何も…」葛城商事とは日本5大商社のうちの一つである。

「父が代表取締役を務めているんだ」

「へえ、そうなんだ」

葛城の口調は、『父の趣味はゴルフなんだ』と言ってるくらいさり気なかったので思わず、聞き流しそうになる。

「って、えええ?!」思わず聞き返してしまった。

「あまり学校では言ってないからさ、内緒にしといてね」葛城は柔らかな笑みを浮かべた。

どうして、そんな人が私と婚約するなんて寝ぼけた事を言っているのかしら。

ってゆうか、そもそも、本当に葛城商事の御曹司なのかも疑わしく思えてくる。私は悶々と考えを巡らせた。

無言のまま、カルボナーラうどんをパスタのようにくるくるとフォークで巻き付て食べていると、「なんか、美味しそうだね、それ。一口ちょうだい」と葛城が言ってきた。

「…どうぞ」私はお椀を葛城に差し出した。

「うん、美味しい」と納得した様に頷くと、葛城は断りなくごそっと箸ですくって小皿に私のカルボナーラうどんをよそった。

一口って言ったのに…。私は恨みがましい視線を向けた。
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