婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「でも、葛城さんは彼女がいるんですよね」

「うん、いるよ」いとも簡単に認めた。

「でも、結婚は私とするんですよね」私がたずねると、そうだね、とアッサリ言ってのける。

「どうしてですか?結婚って好きな人とするものでしょう」

「俺はそうは思ってない。結婚なんて誰としたって同じだ。だったら少しでも家に有利な相手と結婚をしたいと思ってる」

「私がその『有利な相手』だとはとても思えません」

またまたー、と言って葛城は人指し指を横に振った。

「君のおじいさんは四葉銀行の頭取じゃないか?小森さん!」

確かに、私の祖父は日本の大手銀行である四葉銀行の頭取である。それ故に大きな影響力を持っているかもかもしれない。

しかし、うちの母は小森家四人兄弟のうちの三女で、父は婿養子だ。

自分の父を悪く言うのも何だけど、お人好しで人を蹴落してまで出世するような気慨はない人だ。そして祖父もそれをよくわかっている。

義理で某支店の支店長を務めさせてもらっているだけなので、我が家は普通よりも若干豊かではあるが、大金持ちとはとても言い難い。

「確かにそうかもしれないけど、うちは分家中の分家だもの。たいしてメリットがあるとは思えないけど」

「だけど、小森頭取との血縁ではあるし、随分可愛がられているみたいじゃないか」

「まあ、一応。うちは男系で女の子は少ないから」

「だから、君の所に婚約のお鉢が回ってきたって訳だ。なかなか探しても小森家の家系には年頃の女の子がいなかったからね」
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