婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「でも、どうだろう。結婚前の男女が一つ同じ屋根の下に暮らすっていうのも、外聞が悪いんじゃない?」

葛城がやんわりと反発する。

「確かに私たちも家を空けがちだから何か間違いがあっては困る」葛城父が同意すると「でも、双子ちゃん…」と母は一言呟いた。

きっとこの人は双子の孫を期待するがあまり、寧ろ間違いが起こることを期待していそうで恐ろしい。

「だから、遥さんは離れの方で暮らしてもらおうかと思っている」

「それなら、まあ、いいか」葛城は渋々といった感じで折れる。

「じゃあ、来月あたりから準備を始めようか」

ああ…既に外堀から埋められている。ここで私一人が嫌がったところで、話しは進んで行くだろう。

「わ、解りました…」

私が諦めたように力なく言うと、葛城父は満足そうにニッコリ微笑んだ


話が一段落すると、夕飯を葛城家と一緒に食べることとなった。

本日のメニューは葛城母の希望で海鮮鍋とチラシ寿司である。

美味しい食事を食べながら、葛城夫妻は海外の話や葛城の子どもの頃の話を色々聞かせてくれた。

「匠の小さい頃は悪戯ばっかりしていてねぇ」母は遠い目で小さく溜息をつく。

「遥ちゃんのお爺様が遊びに来られた時、鞄にヒキガエルをこっそり入れてた時は顔面から血の気が引いたよな」

葛城父があははーと陽気に笑う。

「そんなことあったっけ」なぁんて葛城はすっとボケている。

あの厳格なおじいちゃんに、そこまでの悪戯をしかけるとは、葛城はやっぱり大物になるかもしれない。

「遥、この後話があるから部屋に来てくれるかな」夕飯が終わると葛城に声を掛けられる。

「え?なんの?」私はピクリと眉根を寄せた。突然の部屋への招待に少し身構えてしまう。

「あらあら、ごめんなさいね。つい話しこんでしまって。上でゆっくり話してらっしゃい」

母に促されて、二階にある葛城の部屋へと向かった。
< 140 / 288 >

この作品をシェア

pagetop