婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「遥との婚約もそろそろ公にしていってもいい頃だと思ってる」葛城はたたみかけるように続ける。

「でも結婚まであと三年もあるじゃない。もう少し先でもいいんじゃない?葛城さんにも色々事情があるだろうし」

「遥は嫌なの?」葛城は不満そうに言う。

「私は別に構わないけど」と言いつつも、佑介さんの姿が頭に浮かび胸がズキっと痛む。

だけど、家族の運命が関わっている以上、私情は挟めない。

気がかりなのは、葛城が無理に急いで話を進めようとしていることだ。

「なんか葛城さん変。絵梨さんと喧嘩でもした?」

瞳に一瞬動揺の色が浮かぶ。

なんだ、図星か…。私はどうやらあて馬的なものらしい。

「パーティーは絵梨さんを誘えばいいじゃない。彼女なんだから」

「彼女とは割り切った付き合いだ。正式な場所に連れて行くべきじゃない」

「割り切った付き合い?本気で言ってんの?」

この後に及んで意地を張る葛城に苛立ちを覚える。

「もうその話はいいじゃないか」葛城は肩を竦め、苦笑いを浮かべる。

でも…と反論しかけると矢継ぎ早に葛城は反論してくる。

「本当に女性は惚れた腫れたのくだらない感情論を話すのが好きだよな」小馬鹿にしたようにクスリと笑った。

「そのくだらない感情に振り回されてるのはあなたの方でしょう」

葛城はしつこく食い下がる私を見て心底嫌そうに眉を顰めた。

「本当はこの婚約だって一番腹が決まって無いくせに平気な振りして。自分が思ってる程上手く隠せてないって気付いてないんですか?」

溜まっていた鬱憤を一気に捲し立てると、葛城の表情から笑みが消えた。

「知った口聞くな。金で買われたくせに」葛城は冷ややかな目をして言い放つ。
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