婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
ああ…結局それが私に対する本音か。

顔面に右ストレートをモロに食らったような衝撃を受ける。

「でも、私は三億円支払ってもらったこの家に、少しでも役立てるよう努力するつもりです。例え貴方にが私を疎ましく思っていても」

大きなダメージを受けながらも、私は震える声で果敢にも言い返す。

葛城は軽蔑したような笑みを浮かべると私の顎を掴み、無理矢理上を向かせる。

「勘違いするなよ。うちはお前に三億円出した訳じゃない。四葉銀行から潤沢な資金を調達できるパイプを手に入れるために三億円払ったんだよ」

私は葛城を力いっぱい突き飛ばした。

目からは大粒の涙がボロボロ零れる。何か言い返そうかと思ってもショックで言葉が出てこない。

私はそのまま部屋を飛び出した。

もう、こんなとこには一分一秒もいたくない。

階段を下りる途中、帰ってきたアキコさんとすれ違う。

「あれー遥ちん、来てたんだー」陽気に二コリと微笑む。

同じ兄弟でもどうしてこうも違うのだろう。

私は泣き顔を見られたくなくて、俯いたままペコリと頭を下げた。

そのまま階段を降りて行こうとすると、すれ違い様に腕を掴まれる。

「泣いてるの?」葛城とソックリなアーモンドアイが私の顔を心配そうにジッと見つめる。

「ごめんなさい」私は腕を振り払って、そのまま階段を下りて行く。

「遥!」後ろから葛城の声が聞こえる。

何の騒ぎかと、リビングから父と母も驚いた顔で飛び出してきた。

ああ…もう最悪…

「遥さん?!」私の顔を見て葛城夫妻はギョッとした表情を浮かべている。

「匠!お前何したんだ!」葛城父が追いかけてくる息子を怒鳴りつける。

「うるせえな!何もしてねぇよ!」

優等生の息子が声を荒げて反抗したので夫妻は呆気にとられている。

その隙をついて、私はダッシュで扉へ向かう。

「お邪魔しました!」と大声で叫ぶとそのまま外へと飛び出した。
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