婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
チラリと振り返ると葛城がグングン追い上げて近くまで迫って来ている。

足…早っ…!

余所見した瞬間、私は脚が縺れてそのまま派手に転倒した。

「いった…」

そのまま地面にうずくまる。

最悪だ…。公衆の面前で追いかけっこした挙句に転ぶとは…。みっともないことこの上ない。

「おい!大丈夫か?!」葛城が焦った様子で駆け寄る、

腕を引いて立たせてもらうと、膝からダラリと血が流れた。

「怪我してるじゃないか」

葛城は鞄からティッシュを取り出すと膝の血をそっと拭ってくれる。

直ぐにティッシュが出るあたり、下手な女子より、女子力高めだ。

「大丈夫…」と言って慌てて後ず去ろうとするがその瞬間、左足首にズキンと痛みが走る。

「いった…」バランスを崩してよろけると葛城が腕を掴んで支えてくれた。

「転んだ時に捻ったかもしれないな」

「大丈夫だから放っといて」私は脚を引きずりながら葛城から身を離した。

「怪我をしている女性を見て、放っておくような教育は受けてない」

葛城は冷静に言うと、私の肩に手を回し小脇に抱えるようにして身体を支えてくれる。

そのまま建物の中へ入って行くと、授業を行っている教室とは別の方向へと無理矢理歩かされた。

「ちょっと、どこ行くのよ!授業に行かなきゃ行けないんだけど!」

「怪我の手当てが優先だろ」

葛城はシレっと言い返すと、そのまま245号室の札がかかった教室へ私を連れ込んだ。

中はそれほど広くはなく、ソファーが置かれていて、教室というよりも応接室のようだ。

以前、この教室へ私は来たことがある。

その時、葛城はミニスカートの女を膝に乗せていたのを思い出す。
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