婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
電車で帰れる言っても、葛城は頑として聞き入れず、タクシーで実家まで送ってくれた。
「送ってくれてありがとうございました」
私が車から降りようとすると「俺も降りて挨拶する」と葛城は言いだした。
「ちょっと、いいですよ!」私は慌てて車中に引き止めようとする。
「まだ、ご両親は遥に何も話していなかったみたいだから、ちょっとプレッシャー掛けとかないと」
と言って、するりと車から降りた。この男が私の言う事なんて聞くわけがない。
インターフォンを鳴らすと、玄関のドアが開きママが中からでてくる。
葛城の姿を見ると「…あら」と言ってママは目を見張った。
男っ気のまるでなかった生真面目な娘が精悍な青年を連れて来たのだから当然だろう。
「はじめまして、葛城匠と申します。遅くまでお嬢さんをお引き留めして申し訳ありませんでした」
葛城は紳士然とした態度で頭を下げる。本当にこの人の外面の良さには感心してしまう。
「葛城さんって、あの葛城商事の?」
「はい、小森頭取を通して、そちらにもお話が行っているかと存じます。遥さんはまだ詳細を知らなかったようなので僕の方から概要についてはお話させていただきました」
「…そうだったの」
ママはバツが悪そうに目を伏せた。
「遥さんは混乱されているようですので、今晩ゆっくり話して上げてください」
「ありがとうございます」
ママは娘と変わらぬ歳の青年に深々と頭を下げた。
「じゃあ、遥さん、また学校でね」
葛城は他所行きの完璧な笑顔言うと、待たせていたタクシーに乗りこむ。
窓越しに一礼し、帰っていった。
「ママ…」
私は死んだ魚の目のような虚ろな眼差しでママの方へ振り向く。
「詳しく説明してもらえる?」
今晩、小森家は嵐の予感だ。
「送ってくれてありがとうございました」
私が車から降りようとすると「俺も降りて挨拶する」と葛城は言いだした。
「ちょっと、いいですよ!」私は慌てて車中に引き止めようとする。
「まだ、ご両親は遥に何も話していなかったみたいだから、ちょっとプレッシャー掛けとかないと」
と言って、するりと車から降りた。この男が私の言う事なんて聞くわけがない。
インターフォンを鳴らすと、玄関のドアが開きママが中からでてくる。
葛城の姿を見ると「…あら」と言ってママは目を見張った。
男っ気のまるでなかった生真面目な娘が精悍な青年を連れて来たのだから当然だろう。
「はじめまして、葛城匠と申します。遅くまでお嬢さんをお引き留めして申し訳ありませんでした」
葛城は紳士然とした態度で頭を下げる。本当にこの人の外面の良さには感心してしまう。
「葛城さんって、あの葛城商事の?」
「はい、小森頭取を通して、そちらにもお話が行っているかと存じます。遥さんはまだ詳細を知らなかったようなので僕の方から概要についてはお話させていただきました」
「…そうだったの」
ママはバツが悪そうに目を伏せた。
「遥さんは混乱されているようですので、今晩ゆっくり話して上げてください」
「ありがとうございます」
ママは娘と変わらぬ歳の青年に深々と頭を下げた。
「じゃあ、遥さん、また学校でね」
葛城は他所行きの完璧な笑顔言うと、待たせていたタクシーに乗りこむ。
窓越しに一礼し、帰っていった。
「ママ…」
私は死んだ魚の目のような虚ろな眼差しでママの方へ振り向く。
「詳しく説明してもらえる?」
今晩、小森家は嵐の予感だ。