婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「そもそもツチノコって何なんれすか?」酔っ払った私はずっと気になっていた事を藤原氏に聞いてみる。

「処女のことだ」藤原氏がきっぱり言ってのけたので、私は飲んでいたワインを吹き出しそうになる。

「このご時世、殊勝に結婚まで処女を守っている女子がどれだけいる?まさに幻だ、ツチノコ並みだ!」

バイト先でもまた処女扱いだ。まぁ、事実だから仕方ないけどね。

「だけど、婚約者がいるって事は遥ちゃんはツチノコシスターズ脱退じゃない?」沙織さんにもすっかり「ツチノコ」という単語が浸透しているようだ。

「いや、全然ツチノコれすよ?」私は呂律の回らない口調で言う。

「よかったー!遥ちゃん!」尋英さんはホッとした笑みを浮かべると、しっかり私の手を握る。

「どうゆう事だ?」藤原氏が眉根を寄せて聞く。

「大学4年間はお互い自由に生きるって決めたんれす。まぁ、私は純潔を守りとおすって条件付きれすけどねー」私は可笑しくもないのにケラケラ笑う。

「ちょっとそれ酷くない?葛城は女の子と一緒に来てたじゃない」沙織さんは眉根を寄せて言う。

SAKUのメンバーはスッカリ葛城の名前を覚えている。

「そうなんれすよー。なんか本命の彼女?みたいです。その他にも色々いるみたいですけどね」私は明るく言ってみるが、藤原オーナーですら同情の念を目に浮かべている。

「ほら、私も彼氏を作ろうと思えば作れるんですけど、ただ相手がいないっていうだけですし!」

「遥ちゃんは葛城の事が好きなの?」沙織さんが尋ねる。

「いや、私が好きなのは中谷先輩なんれー」

「ええ?!そうなのか?!」藤原さんがギョッとして聞き返す。
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