婚約者は突然に~政略結婚までにしたい5つのこと~
「おいっ!遥!はるかっ!」

肩を乱暴に揺すられ、強制的に心地よい眠りから現実へと引き戻される。

「う…ん、乱暴しないで」私は怪訝な表情でゆっくり顔を上げる。

アルコールのせいか、頭がまだぼんやりする。

「どんだけ飲めばこんなに酔っ払うんだよ」

頭をゆっくりと持ち上げ、声の主を見るなり私はギョッとした表情を浮かべる。

泥酔する羽目になった元凶の人物である葛城がすぐ目の前にいたのだ。

「どうしてあんたが此処にいるのよ」私はギュッと眉根を寄せて、葛城を睨みつけた。

女ったらし、嘘つき、自己中、大っきらい!

アルコールで理性はぶっ飛び、本能でしか考えられない今はこの男に対して嫌悪しか感じない。

「ごめんねー、遥ちゃん、オーナーが面白がっちゃって勝手に呼んじゃったのよ」沙織さんが申し訳なさそうに眉根を寄せて言う。

「はぁ?!何の嫌がらせすかー?!」私の苛立ちの矛先はオーナーにも飛び火する。

「随分嫌われてるなぁ、葛城君」オーナーは肩に手をおいて、同情めいた視線を葛城に向ける。

「オーナーもこの人を呼ぶなんてキライっ!」私はツンと横を向いた。

「おいおいおい、ツチノコ妹よ、ソレはないだろう?お前を心配して呼んだんだぞ?」

「自分が介抱するのが嫌だったんじゃないですか?」葛城は冷静に突っ込む。

「いや、生の葛城くんを見てみたかったんだ」ただの野次馬根性か。

「さっき見たじゃないですか!店に女連れで来てたとこ!」私はキッと睨みつける。

「なんだ、遥、それで焼きもちやいてたのか」葛城はにっこりと微笑む。

「なんか甘いわね」尋英さんはホウっと溜息をついた。エレガントな外見に騙されてママや瑞希と同じ目をしている。
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