初恋 二度目の恋…最後の恋
店まで歩きながらも私も中垣先輩も言葉がなくて黙々と歩く。でも、一緒に働いている頃から普通のことだったから、研究所と営業一課に離れたからと言って、ベラベラ話すのもなんとなくおかしい。
「ここです」
「雰囲気のいい店だな」
「とっても美味しいですよ。高見主任と一緒に来たことがありますが、その時もこんなに美味しいものがあるのかと思ったくらいです」
「それは期待してしまう」
「中垣先輩の趣味かどうかわかりませんが」
「坂上が進める先ならそれでいい」
先に中垣先輩が暖簾を潜り店内に入り、私がその後に続く。案内されたのは店の奥にある小上りだった。私が先に上がると、後から中垣先輩も入ってきて、私の前に座る。スーツのジャケットを脱ぐと、ネクタイを緩めたのだった。
白衣ばかり着ている中垣先輩にとってスーツは息苦しいのかもしれない
こんな風に向かい合って一緒に食事をするのは初めてだった。中垣先輩が好きなものも、何を飲むのかさえも知らない。知っているのはブラックコーヒーが好きということくらい。何の役にも立たない情報だった。
「ビールでいいですか?」
「ああ。坂上飲むだろ」
それだけいうとまた中垣先輩は口を噤む。寡黙で何を考えているかもわからない先輩は一緒に働いている時から変わらない。そして頼んだビールが運ばれてくると、私の方に差し出した。一応乾杯はするみたいで、二人で無言のままジョッキを重ねると乾杯した時の特有な音がして、お互いに冷えたジョッキに口を付ける。
料理は適当に頼んでしまうと…。何を話していいかもわからない。高見主任なら、折戸さんなら…そして、小林さんなら。こんな沈黙はないだろう。人柄というよりは研究と営業の違いかもしれない。そんなことを思った。
「ここです」
「雰囲気のいい店だな」
「とっても美味しいですよ。高見主任と一緒に来たことがありますが、その時もこんなに美味しいものがあるのかと思ったくらいです」
「それは期待してしまう」
「中垣先輩の趣味かどうかわかりませんが」
「坂上が進める先ならそれでいい」
先に中垣先輩が暖簾を潜り店内に入り、私がその後に続く。案内されたのは店の奥にある小上りだった。私が先に上がると、後から中垣先輩も入ってきて、私の前に座る。スーツのジャケットを脱ぐと、ネクタイを緩めたのだった。
白衣ばかり着ている中垣先輩にとってスーツは息苦しいのかもしれない
こんな風に向かい合って一緒に食事をするのは初めてだった。中垣先輩が好きなものも、何を飲むのかさえも知らない。知っているのはブラックコーヒーが好きということくらい。何の役にも立たない情報だった。
「ビールでいいですか?」
「ああ。坂上飲むだろ」
それだけいうとまた中垣先輩は口を噤む。寡黙で何を考えているかもわからない先輩は一緒に働いている時から変わらない。そして頼んだビールが運ばれてくると、私の方に差し出した。一応乾杯はするみたいで、二人で無言のままジョッキを重ねると乾杯した時の特有な音がして、お互いに冷えたジョッキに口を付ける。
料理は適当に頼んでしまうと…。何を話していいかもわからない。高見主任なら、折戸さんなら…そして、小林さんなら。こんな沈黙はないだろう。人柄というよりは研究と営業の違いかもしれない。そんなことを思った。