初恋 二度目の恋…最後の恋
 ビールを飲んでいるとゆっくりと料理が運ばれてくる。運ばれて来る料理はどれも美味しいし、見た目も綺麗だし、ボリュームも満点。


 いつも高見主任が行く店なので味はお墨付き。ビールを飲みながらのゆっくりとした食事にはもってこい。値段が手ごろだし、味もいいし、何よりも静かというのがいい。高見主任はここで接待をすることもあるらしいけど、やはり趣味の良さが際立つ。あまりにも何も話さない中垣先輩との間のこの間をどうにかしたくて私が口にしたのは世間話のような言葉だった。


「静岡の研究所はどうですか?」


 何も話さない先輩に私が聞くと、先輩は視線を私に向ける。何か言いたげで…。でも、言葉を少し選んだのか静かに話し出した。


「研究所だからやることは一緒だけど、建物は新しいな。器材は最新式のものがいくつかあるので研究はしやすい環境だと思う」


 静岡の研究所は統合したのもあるが、施設も新しく最先端の研究を出来る施設だ。話は聞いていたけど、それは間違いないようだ。研究室もたくさんあって、日本中の研究所の中枢。そこに中垣先輩はいる。


「そうですか。」

「坂上の方は?」



 私は自分の今の状況を振り返る。研究所とは違うけど、優しい人たちに包まれて、刺激的な毎日を送っている。実際に営業に同行したことで、私なりに成長できたのではないかと思っている。自分の研究してきた製品の行先が見えたのはやっぱり嬉しかった。



 
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