初恋 二度目の恋…最後の恋
 涙で化粧は落ち、目は腫れ上がり見られない顔だったと思うけど、小林さんはニッコリといつものように笑う。私は小林さんのスーツを涙で濡らしてしまっていた。


「ごめんなさい。スーツ…」


「そんなのはいいよ。でも、美羽ちゃん。涙が止まったら、お祖母ちゃんの傍に行ってあげて。多分、美羽ちゃんを待ってるよ。傍にいてあげないと寂しがるよ」


「はい…あの。小林さん」


「ん?」


「一緒に居てくれてありがとうございました」


「俺が美羽ちゃんの傍に居たかっただけだから気にしないで。さ、病室の方に行こうか」


 私がお祖母ちゃんの病室に戻るとそこには静かな空間が広がっていた。お祖母ちゃんの身体からは全ての器具が外されている。手は胸の上に綺麗に組まれ、顔の上には真っ白な布が乗せられている。人の死というのは余りにも簡単に処理されていく。


 ベッドの横にはお祖母ちゃんの荷物がボストンバックと紙袋に入れられて、いつでも病室を出られるようになっていた。そして、両親が戻ってきた時には葬儀場から何もかもが決まっていて、今からすぐに葬儀場に移らないといけないということだった。



 明日は通夜で明後日が葬儀。
 分かっているけど、気持ちが割り切れない。


「美羽。悪いけど、タクシーで来てくれる?お父さんとお母さんは先に霊柩車で葬儀場に行って色々打ち合わせをしないといけないの」

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