初恋 二度目の恋…最後の恋
 病院から葬儀場に運ばれる霊柩車には乗れる人数が限られていて私は乗れない。葬儀場にはタクシーで行かないといけないようだった。思考がついていかない。お祖母ちゃんが亡くなったショックも冷めやらないうちに次々と決まっていく。


「うん。わかった」


 私が何とかそれだけを言うと、お父さんもお母さんも急ぎ足で病室の中に入っていく。すると、後から入ってきた看護士さんはお祖母ちゃんを乗せたベッドを病室から運び出したのだった。荷物を持ったお父さんとお母さんがその後ろを歩いていく。


「美羽。じゃ、出来るだけ早く来て」


「うん」

 
 そうは言ったものの身体が全く動かない。お祖母ちゃんに声を掛けたかったのに、何も言えず、廊下の角を曲がって、姿が見えなくなるまでずっと見つめていた。


 私は病室から見えないところにいてくれる小林さんの所に行くと、小林さんは廊下にあるベンチに腰かけていて、天井を見つめていた。私が小林さんの所に戻ると、小林さんは穏やかに微笑む。


「今から葬儀場の方に行くことになりました。すみませんが、高見主任に連絡をお願いしてもいいでしょうか?それと、今日は本当にありがとうございました」


「美羽ちゃんはご両親と一緒に葬儀場に行くの?」


「いえ、霊柩車には乗れないので一人で行きます」


「それなら俺は美羽ちゃんを葬儀場に送ってから会社に帰るよ。高見主任には俺から連絡しておくから安心して」


「もう大丈夫です」


「大丈夫だと思うけど、心配だから葬儀場まで送る」

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