初恋 二度目の恋…最後の恋
「フランスは行ったことがないのですが、素敵なんでしょうね。パリに住むんですか?」


 フランスのパリと言えば、歴史も深く綺麗な街並みが続いていると聞いている。そんな歴史の趣のあるパリの街はよく知らないのに折戸さんの洗練された所作に合っているような気もする。見たこともないパリの街に思いを馳せる。


「ねえ、美羽ちゃんがフランスに行きたいと思うなら連れて行くよ」


 テレビで見たようなパリの映像を頭の中に思い浮かべている私に降り注いだのは驚くような言葉で何を言ったのか理解できなかった。折戸さんは『連れていく』と言った?もしかして私を??


 折戸さんは酔っているのだろうか?でも、見る限りは酔っているようには見えない。それに私が呆然と見上げるとそこにはいつもの綺麗な微笑みがそこにはあって…違う意味でドキッとしてしまう。綺麗な微笑みの中に真剣な思いを感じる。驚きながらも冗談ではないと雰囲気が教えてくれる。


「どういう意味ですか?」


「言葉のままだよ。フランスにはうちの会社のフランス国際研究所がある。今から申請を出せば、俺の転勤には少し遅れるだろうけど行くことが出来る。美羽ちゃんの研究員としての実力なら転勤出来る。ここ何年かで研究所の交換留学が始まっているのは知っているだろ」


 フランス国際研究所はヨーロッパの研究拠点で日本の研究所と定期的に交換留学が行われているのは知っている。でも、東京北研究所にいる時でも一介の研究員だった私がフランス国際研究所に希望を出すなんて考えたこともなかった。

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