初恋 二度目の恋…最後の恋
「そうなんですね。本当にありがとうございます。でも、私…。」


「ああ。今日すぐに返事が欲しいとは言わないよ。美羽ちゃんの気持ちもあるからね。でも、出来れば俺と一緒にフランスに行って欲しいと思っている。もしも、俺と一緒にフランスに行ってくれるなら、一生大事にする。きっと幸せにすると約束する」


 折戸さんの言葉は真剣で私を大事に思ってくれているのを感じる。もちろん折戸さんのことは嫌いじゃない。どちらかというと好きだと思う。でも、それが男の人としてとなると…分からないというのが本音だった。


 結婚ということを考えると折戸さんは私には勿体ないくらいの素敵な人で、誰もが羨むほどの結婚相手だと思う。それなのに躊躇してしまうのは私に恋愛経験が皆無だからだった。どうしていいのかさえ分からない。



「さあ、そろそろ家に送るよ。美羽ちゃん。俺の気持ちを押し付けてごめん。本当に悪いと思っている。でも、時間がないから俺も少しだけ焦っている。こんな自分は自分でも格好悪いと思う。それでも、美羽ちゃんと一緒に行きたいと思う気持ちだけは分かって欲しい」


 私が頷くと折戸さんはホッとしたようないつもの笑顔を見せてくれるから、私もホッとしたのだった。


 店を出て、タクシーに乗り込むと私のマンションの前まではそんなに時間は掛からなかった。タクシーの中での折戸さんはさっきの店でプロポーズをしたとは思えないくらいに穏やかでいつも通り。でも、時折、零される綺麗な微笑みがいつも以上に優しさを増しているように見えた。


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