初恋　二度目の恋…最後の恋
「折戸さん。気に入って貰えるといいんですけど」


　そんな言葉と一緒に渡すと折戸さんは少し目を見開き、ゆっくりと私の手から紙袋を受け取ると今までにみたことのないくらいに綺麗な微笑みを私に向けるのだった。


「これは美羽ちゃんが選んでくれたの？」


「はい。でも、私。男の人の物を買うのは初めてだったので、本当に何を買っていいか迷って」


「美羽ちゃんが俺のことを思って選んでくれたのが嬉しい」


　そういうと、折戸さんはその袋を丁寧に開けていき、中から白いふわふわの紙に包まれたシャツを取り出したのだった。


　私が選んだシャツは折戸さんの持っていたシャツの似たようなものを選んだ。若草色のシャツを持っていたから、私が選んだのは綺麗なラベンダー色のシャツだった。ラベンダー色のシャツは着る人を選ぶと思うけど、折戸さんならきっと上手に着こなすことが出来ると思う。


　このシャツを選ぶだけで、私は仕事が終わってから何度もデパートに足を運んでいたのだった。ブランドは決まっても、買うものをシャツにするのか、小物にするのか。ネクタイとかの方がいいのかとか色々と考えて考えた末に決まったのがこのシャツだった。


　買った後にこれでよかったかと何度も思った。



　でも、ラベンダー色のシャツを見る折戸さんの様子を見てホッとする。シャツを見る折戸さんの目は本当に優しくて…嬉しそうだった。喜んで貰っているのが分かると嬉しい。


「ありがとう。とっても気に入った。大事に使わせて貰う」


　折戸さんはシャツを眺め、静かに綺麗な微笑みを浮かべるのだった。



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