初恋 二度目の恋…最後の恋
 プレゼントを渡し終えるとまた飲み会が始まる。折戸さんは高見主任の横に座り高見主任と同じような透明な液体を飲んでいる。でも、折戸さんの飲んでいるのは白ワインだった。そんな様子を見ながら私は小林さんの前に座ってオレンジジュースを飲んでいた。今日はファジーネーブルではなくて正真正銘のオレンジジュース。


 幹事を最後まで終わらせるまではお酒に酔ってしまっては大変だと思ったからだった。そんなオレンジジュースを飲む私に小林さんはニッコリと微笑む。


「折戸さん喜んでいたね」


「はい。自分が選んだものをあんな風に喜んで貰えると嬉しいです。頑張って探した甲斐がありました」


 小林さんは私の方を見つめニッコリと笑うと、少しだけ間を置いてからゆっくりと言葉を零したのだった。


「今度の土曜日一緒に出掛けないか?」


「え。」


 小林さんがこんな風に私を誘ってくれたのは初めてだった。一緒に遊びに行く時は折戸さんが計画して、私と小林さんを誘ってくれるというのがいつものことだった。でも、今回初めて…小林さんが私を誘ってくる。


 でも…その日は折戸さんがフランスに出発する日だった。もしも、私が折戸さんのプロポーズを受け入れて一緒にフランスに行くというのなら、私は折戸さんを見送るために空港に行かないといけない。もし、プロポーズを断ったとしても、陰からでも折戸さんを見送りたいと思っていた。


 どちらにしても空港に行くつもりだった」


「ごめんなさい。その日は用事があって」


 私の言葉に小林さんは綺麗な顔で微笑んだ。
 

「そっか。また誘うよ。」

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