初恋　二度目の恋…最後の恋
　最初は自分で帰るつもりだったけど、実際に送って貰うと嬉しい。そして、大事にされた時に人は成長出来るのかもしれない。私の成長は人との関わりと喜べるようになったことだった。今まで人との関わりを苦手としてきたけど、今では小林さんを始め、営業一課の人と一緒に過ごすことが楽しいとさえ思うようになっていた。


　こんな風に酔ってしまうというのも…。私が気を許しているという証拠だった。



「うん。じゃあ、また会社で」


「はい。今日はありがとうございました。折戸さんたちによろしく言っておいてください。先に帰って申し訳ないです」


「それは大丈夫。俺が美羽ちゃんの分も可愛がって貰ってくるから。じゃ、おやすみ」


「おやすみなさい」


　小林さんはニッコリと笑うとマンションの部屋まで送って安心したのか帰っていった。帰った後で、私は言われたようにおスポーツドリンクを飲んでから寝ることにした。喉を流れる冷たいスポーツドリンクが身体の細胞の隅々まで行きわたるような気がした。


　スポーツドリンクを飲んでベッドに横になると、不意に小林さんの笑顔が浮かぶ。そんな笑顔を思い出していると自分の顔が緩む。そして、気持ちのよい眠りはゆっくりと私を包んでいく。何か心の奥に大事な何かを忘れているような気もしていたけど、少しの酔いは思考力が低下していて、それが何か分からない。


　私は優しい眠りにゆっくりと包まれたのだった。


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