初恋　二度目の恋…最後の恋
「美羽ちゃんの性格を考えたらそれくらいわかるよ。静岡研究所に転属するつもりでしょ。困っている人を見過ごしたり出来ないし、それに俺とのことも急過ぎたしね」


　私は心底驚いていた。私は折戸さんの事が好きという気持ちはある。でも、何度考えてもまだフランスに付いて行って折戸さんと結婚するというイメージは沸かない。現実味のない夢のような話だとしか思えない私がいた。でも、自分で言い出す前に折戸さんから言われるとは思いもしなかった。


「折戸さんの気持ちは本当に嬉しかったです。でも、フランスに付いて行ってというのがまだ気持ちが定まらなかったです。でも、折戸さんが嫌いとかそんなんじゃなくて…なんか自分の気持ちを言葉にするのが難しい」


「うん。悩むほど思ってくれたのは分かっているから」



　何もかも見透かされているような気がした。私は折戸さんが好きだった。でも、その好きは恋愛としての好きにまではまだ成長してない。そんな状態の自分が折戸さんの申し出を受けることは出来ないと思った。一緒に行ってみれば気持ちも深まっていくのかもしれない。でも、私はそんなことが出来る性格じゃない。


　客観的に見ると私は馬鹿だと思う。折戸さんのように素敵な人のプロポーズを断る人なんかいないと思う。でも、大事な折戸さんだからこそ、私は誠意を持って応えたいと思った。それが私に出来るただ一つのこと。人の思いには誠実に優しさを持って応える。


　それが私には大事だと思った。

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