素顔のマリィ
流加のアトリエは東京の郊外にあって、倉庫を改造したアトリエ兼住宅には、ところ狭しと絵が重ねられていた。
「わぁ、凄い量」
「僕は作品を捨てない主義だからね。
だから、僕の描くマリィは永久不滅だ」
そう言って流加が笑う。
一際大きな作品が、アトリエ正面の壁に掛けられていた。
ぎょっ! なにこれ?!
「だから、驚かないでって言ったでしょ」
照れたように笑う流加。それでもその絵は堂々と掲げられたままだ。
そこには、裸体をさらしたわたしがいた。
「わたし、ルカに裸を見せたことなんてないよね?」
「当たり前だろ」
「こないだが初めてだよね?」
「あぁ〜、もぉ〜、だからぁ〜、これは僕の想像。
僕の造り上げた妄想の産物です」
驚くほど美しい、その裸体は、はっきり言って自分のものだと言い切るには、恥かしすぎるポーズでこちらに笑いかけている。
でも、確かにそれは、流加の目を通したわたしなのだ。