クレームの女王
店員たちがてきぱきと散乱した野菜をかたずけている。
壊れたカートはどこかへと持って行ってしまった。


祐樹はまだ泣き止まない。
麗華がふと見ると祐樹の額から


うっすらと血がにじんでいる。


「祐樹。痛かったねー。これ貼っておくね」


麗華はいつも携帯しているバンドエイドを
祐樹の額に張り付けた。


するとウソのように泣き止む祐樹。
機嫌がよくなって今度は笑い始める。


小さい男の子がいる家庭では
本当にバンドエイドは必需品だ。


動き回って擦り傷を作りまくる子供を
泣き止ますためのおまじない。


それがバンドエイドだった。


バンドエイドを額に貼り
笑いながらつぶれた野菜で遊んでいる祐樹を見て


かわいいなと思う麗華。


貧乏でイライラした心が少しだけ癒される。


しかしほわっとした心の麗華に
誰かが突然声をかけてきた。

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