クレームの女王
恰幅のよい体に着込まれたスーパーの制服姿。


「奥様。お怪我などございませんでしょうか?」


丁寧な口調で話すその表情は顔に張り付いたような笑顔。
麗華は無言で話しかけてきた男に笑顔を返した。


「私、この店の店長をしているものです。
大変びっくりなされたでしょう。

もしよろしければこのスーパーの応接室で
お休みなされた方がよろしいでしょう。


さあ!どうぞこちらに」


店長の言葉に促されて麗華は店の奥に連れられて行く。

なすすべもなく連れ去られていく今の状況に
麗華の心は大きく揺れ動いた。


弁償なのか?
あれだけの棚を破壊してしまったんだ。
かなりの額になるだろうなあ……

でもそもそもの原因は店のカートが錆びていて
車輪が取れてしまったことに原因がある。
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