クレームの女王
麗華は殴られて床に這いつくばった。
口の中が切れて血が流れ出している。

祐樹はまた悲しい顔をして
タンスの裏に逃げ込んだ。


「うるせえよ。口応えすんな。
お前が悪いんだよ!


お前が渡さないって言ってもな。
大体隠してあるところはわかってんだよ」


旦那は冷蔵庫を開けて中を引っ掻き回した。
そしてしばらくして小さな箱を見つけた旦那は


ニヤリと笑った。


「お前はバカだからいつも大事なものを
隠すところは同じだからな。

まあ冷蔵庫の中にあるとは思っていたよ。


これは預かっとくからな。おやすみぃ!」



そう言って旦那は自分の部屋に入り
中から鍵を開けた。

そして残されたのは
たった一つの幸せを


無残に奪い取られた麗華だった。


涙が止まらず麗華は泣き続ける。
自分にはたった一つの幸せも来ないのか?


そう思うと麗華の心は
段々と氷に包まれたように冷えていく。

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