恋愛戦争



核心をつかめない不安定さ、儚さは彼女の言葉によく滲んでいる。気づかないふりをするか、掴みとるか。いつも悩んで俺は逃げる選択しかしてない。

シャコシャコと下ろしたての歯ブラシで鏡越しに磨いているイケメンは、彼女といると急に自信が消えうせる。


不安と不安と不安。


なにを心配しているのかと自分に問えば答えは漠然としている。


また俺の前から消える。

根拠のない恐怖に突き動かされている。


彼女の美しい瞳にはどう映っているのだろうか。


こんな俺を、彼女にはどう見えているのだろうか。知りたくない。



シャコシャコ。



ふとした瞬間に俺の中の自信が崩れ落ちていく。それは酷く脆くて、取り繕ったものである決定的証拠でもある。


それでも虚勢をはらずにはいられずに、嘘をつくように自信に満ち溢れたふりをする。


晶と並ぶにはまだ足りないと自覚しているから。


しかし、その張本人である晶が俺の自信を粉々にしてくるのだから元も子もない。あの美しい瞳に見つめられたら、嘘なんかつけないから。


数分の歯磨きを終え口をゆすぐと幾分か気分もスッキリしたような気がした。



「あーきらちゃん」




リビングに呼びに行くと、既に洗い物を終えて着替えも済ませていた。


白のブラウスにスキニー。控えめなネックレス。結ばれた長い髪。


ただのいい女である。



「ふーん」

「なに?」

「晶ってそういう格好もするんだ」

「ワンピースばかり着てると思った?」

「イメージだとね」

「昔の私とは違うよ」



服装が?考え方が?人生観が?俺への感情が?なんて聞けず。



「晶は綺麗だよ」



どストレートな褒め言葉しか出てこなかった。



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